緊急事態に対処するための5つのポイントをご紹介します。
1. 状況の分析と的確な対応
緊急事態が発生したらすぐに、事業継続計画(business continuity plan)にしたがって行動してください。事業継続計画を持っていない場合は、現在の緊急事態が収束した後、できるだけ早く作成した方がいいでしょう。FEMAのものを含め、参考になるテンプレートはたくさんあります。パッチをインストールしたり、ハードウェアを置き換えたり、サーバーを立ち上げ直したりといった単純な方法で解決できるのなら、直ちに実行してください。緊急事態は、IT部門への通常のヘルプ依頼とは異なり、ユーザーがリスクにさらされる可能性が高いので、迅速な対応が肝要です。
2. 責任を認める(理不尽でない限り)
IT部門に何らかのミスがあった場合、謝罪をするのも大切です。誠実に反省点を伝え、同じミスを犯さないための対策も付け加えるといいでしょう。IT部門に直接のミスはなくても非難を受けることがあります。何が起こったのか、ユーザーの視点から説明すれば、理不尽な非難はされないでしょう。
3. 解決の適正な伝達
効果的なITコミュニケーションのCIO執行理事会の調査によると、ITリーダーの44%はチーム内のコミュニケーション能力に多少不満を抱いています。特に緊急事態においては、これは重要な問題です。まず、IT部門と他部門の間にコミュニケーションギャップが存在するかどうかを確認し、情報が正しく伝わっていなければ、できる限りわかりやすい、技術に通じていない人たちにも理解しやすい言葉で説明してください。たとえば次のような具合に。
- 実際に起きたこと: 「WhatsUp Gold ネットワーク監視システムで、すべてのワイヤレスアクセスポイントに問題があることが示されている。WAPがどこにあるか、どのイーサネットスイッチポートに接続されているかを確認し、スイッチログをチェックする必要がある。」
- メールで伝える内容: 「お知らせします。Wi-Fi 問題が発生し、現在修正作業中です。問題が解決するまで有線接続で作業してください。」
4. 詳細データによる説得
ところで、効果的なコミュニケーションを成り立たせる秘密は何でしょうか?誰と話しているかを常に意識し、自分の業務に関係する詳細だけを知りたいスタッフにはそのようなメッセージを伝えることです。メッセージにバックアップする詳細データがあれば説得力は高まります。たとえば、ネットワークを容量を超えて過剰使用したために中断が発生した場合、帯域幅の過剰使用を控えるよう伝えることは、それをサポートする証拠がなければやりにくいです。個人を特定するようなことなく、中立的であれば、信頼も得られます。
5. 信頼の回復
危機を乗り越えられたとしても、不信感が残るかもしれません。IT管理者はいちいち口に出さずに仕事を片付けがちなので、正しいことをしているのかどうかがわかりません。緊急事態を解決した後の数週間、または数ヶ月間、ネットワークの稼働時間などの情報を伝えて信頼を回復することが重要です。そうすることで、問題が再発するかもしれないという不信感を払拭できます。それから、会社と経営陣、そして適切な場合には顧客に、IT部門がどのように緊急事態を解決したのか説明してください。何も言わなければ知られないままに終わってしまいますが、関係者は、IT部門の危機管理能力について知っておくべきです。
最後にもう一度強調します。事業継続計画(BCP)を作成してください。イントラネットを介して議論を深め成果を共有しておけば、次に類似の緊急事態が発生した場合により迅速に解決できます。対策の過程で、たとえばサーバーのスペースを確保できたのでロード時間が短縮したといった生産性の向上が見られるかもしれません。危機が忘れられた後も、最前線でのIT業務に対して誇りを持って積極的に取り組んでください。次に何かが起きたとき、いきなりIT部門を責め立てるようなことにはならないでしょう。