今日のデジタル世界ではデータ侵害がかつてないほど増加しており、より安全なファイル管理が求められています。また、グローバル化やリモートワークの普遍化など、様々な変化がもたらす複雑性にも対応しなければなりません。こうした理由から、多くの企業がマネージド・ファイル・トランスファー・ソリューションを導入しています。
このブログでは、安全なファイル転送ソフトウェア、マネージド・ファイル・トランスファー・ソリューションを検討する場合の、選択と導入のポイントを説明します。
安全でないファイル共有の高いリスク
自社開発のソリューションなど、安全性が十分に考慮されていないシステムでファイル共有・転送を行うことには高いリスクが伴います。高度なセキュリティ制御とセキュリティプロトコルがなければ、ファイル共有・転送の際にハッカーにアクセスされ、顧客データ、財務記録、知的財産などが盗まれる可能性があります。IBM のレポートによると、データ漏洩のコストは驚異的で、1 件あたり平均 445 万ドルを超えています。中小企業にとって、損害は壊滅的になる可能性があります。
安全性を高めるよう細心の考慮を払って設計されたマネージド・ファイル・トランスファー・ソリューションを採用すると、ファイルは保存時および転送時に適切に暗号化され、ファイル閲覧、ダウンロード、共有などのためのアクセス権を権限のある関係者のみに制限でき、さらに監査可能なアクセス証跡が残されるようにすることができます。
安全なファイル転送ソフトウェアの要件
マネージド・ファイル・トランスファー・ソリューションの導入を検討する場合、まず安全なファイル転送の要件について掘り下げてみる必要があります。次のようなポイントをチェックしてみてください。
- 適用すべき暗号化基準が存在するか、アクセスコントロールは必須か?
- 転送のニーズは増大し続けているか?ニーズの増大に合わせて柔軟に拡張できるソリューションが必要か?
- 社内だけでなく、社外とのファイルのやり取りが必要か?誰がどのようなアクセス権限を与えられるべきか?監査証跡は必要か?
- 既存のシステムを統合して単一のソリューションを使用するようにすべきか?どの既存システムを考慮すべきか?
- Windows、Mac、Linux、モバイル、メインフレームなど、すべてのビジネスシステム間の転送をサポートする必要があるか?
- 準拠すべきコンプライアンス規制は何か?レポート作成ツールなど、充実したサポートツールが必要か?
- インタフェースはどの程度使いやすい必要があるか?技術者以外の社員も直感的に分かりやすく使用できる複雑でないソリューションが必要か?
安全なファイル転送ソフトウェアに求められる主な機能
企業でオフィシャルに使用するための安全なファイル転送ソフトウェアを選択する際には、データを安全に保ち、ワークフローを効率化するための適切な機能を備えたソリューションが必要です。
セキュリティとコンプライアンス
最優先事項はセキュリティの強化です。AES 256 暗号化、2要素認証、PCI、HIPAA、GDPR などの規制に準拠するのに役立つソフトウェアを探してください。自動データ保持ポリシー、詳細な監査証跡、ユーザーアクセスのコントロールも、コンプライアンスを満たす必要がある企業にとって重要です。
使いやすさ
オフィシャルに利用するファイル転送ソリューションの要件として、直感的で簡単なトレーニングだけで使いこなせ、実装が簡単なことも大きなポイントです。シンプルなドラッグアンドドロップ式のインタフェースなど、使いやすければ社員は抵抗なくソリューションの使用を受け入れますが、使いにくければ積極的には利用しないでしょう。
拡張性
ソリューションは、ビジネスの成長に合わせて拡張できることが大切です。ニーズの変化に応じて、ストレージ容量や転送速度を簡単に調整できるオプションがあるものを探してください。大規模な組織にとっては、様々な部門に個別のアカウントやユーザーグループを作成でき、詳細なアクセス権限設定を行えることも重要です。
高度な機能
安全なファイル転送ソフトウェアに期待される高度な機能としては、監査証跡、ダッシュボードから生成できる詳細レポート、自動化/スケジューリング、CRM や ERP システムなどの他のソフトウェアとの API 統合などがあります。EDI、アドホックファイル共有、企業間ワークフロー用のアドオンモジュールが提供されるソリューションも存在します。
安全なファイル転送ソフトウェアの実装
上述のようなポイントに関して検討を行い、安全なファイル転送ソフトウェアとして導入すべきソリューションが決定したら、実装の段階に入ります。ソフトウェアを設定し、ユーザへのトレーニングを行い、現在のシステムからスムーズに移行できるよう準備します。
システム設定
ソフトウェアプロバイダーと協力して、ニーズに合わせてシステム設定を行います。次のようなことが含まれます。
- ユーザーのアクセスレベルと権限の設定
- フォルダ構造の決定
- 自動ファイルルーティング
- API または他のシステムとの統合
- ブランディングとカスタマイズ
購入前にすべてが正しく機能していることを確認できるよう、プロバイダーから初期設定やテストへの支援を受けることも可能です。
ユーザートレーニング
ユーザー向けのトレーニングとしては、以下のようなものを準備します。
- トレーニング用ビデオ
- ドキュメントとヘルプガイド
- よくある質問とその回答をまとめた FAQ リスト
全員が同じレベルで認識できるよう、一律的なトレーニングプログラムを組んでおくのが適切でしょう。必要に応じて、適宜個別に対応できるよう備えておきます。簡単なトレーニングですぐ使えるようになれば新しいソリューションの受け入れがスムーズに進みます。
移行計画
次のようなポイントを考慮して、既存のファイル転送システムから、どのように新しいシステムに移行するかの計画を立てます。
- 両方のシステムを並行して実行できる期間を設ける
- 履歴データやファイルを新しいシステムに移行する
- 旧システムの利用を停止する期限を確定する
- 移行の初期段階では、特に丁寧にユーザーを支援できるようサポート体制を整える
適切に計画することで、とまどいや停滞などを引き起こすことなく、移行がスムーズに実施できれば、ユーザーは新しいソフトウェアを抵抗なく受け入れ、新しい安全なファイル転送システムのメリットが活かされます。
投資から最大限の価値を引き出す
安全なファイル転送ソフトウェアへの投資から最大限の価値を引き出すには、現在のニーズを満たしながら、将来的な成長も考慮したソリューションを選択する必要があります。ビジネスの拡大に合わせて拡張でき、将来的に機能を追加するオプションを備えた柔軟性に富むプラットフォームであることは重要なポイントです。
ユーザー数や必要なストレージ容量に基づいて段階的な価格設定がされているソリューションであれば、その時点で実際に使用するレベルに見合う分の支払いを行い、ビジネスが成長して必要になったときに柔軟にアップグレードできます。試用期間中に様々なレベルを実際にテストすることもできます。
バンドルされている機能が多いほど、より多くの価値が得られます。次のような機能が備わっているソリューションは有用です。
- ファイル転送アクティビティ、ユーザーやイベントを追跡するための監査証跡とレポート作成機能
- 定期的なファイル転送をスケジュールして処理するための自動化機能
- 暗号化、ファイルの整合性チェック、詳細なアクセスコントロールなどの堅牢なセキュリティ機能
- ソフトウェアの展開、設定、最適化を支援するサポート
以上、安全なファイル転送ソフトウェア、マネージド・ファイル・トランスファー・ソリューションを検討する場合の、選択と導入のポイントについて説明しました。
検討する安全なマネージド・ファイル・トランスファー・ソリューションのリストに、プログレスの MOVEit を含めることをお忘れなきよう!
John Iwuozor
John Iwuozor is a freelance writer for cybersecurity and B2B SaaS brands. He has written for a host of top brands, the likes of ForbesAdvisor, Technologyadvice and Tripwire, among others. He’s an avid chess player and loves exploring new domains.