複雑なトランザクションのリコンサイル(照合)は、面倒ですが極めて重要な作業です。顧客がすぐに承認しても、その公式記録が提供される時間はバラバラで、さまざまな形式になっています。これらは通常、手作業でリコンサイルする必要があります。その際、差異や例外を指摘し、適切なフラグを立てます。
リコンサイルプロセスを適切に管理できていない場合、会社には管理されていないリスクが潜んでいることになります。既存のアプリケーションやワークフローは、例外をちゃんと捕捉できていない可能性があります。またポートフォリオには、目に見えない相関リスクが存在する可能性があります。そしてこれらの差異が重要かどうかを判断する必要もあります。
多くの企業では、賢い人々が表計算ソフトを駆使して、こういったリコンサイルギャップの問題に対処してきました。トランザクションが単純でその数もそんなに多くない場合はこれで十分かもしれませんが、このやり方では大きな規模へうまく拡張できません。顧客のトランザクションが複雑化し、頻度も増えてくると、担当チームの対応が間に合わなくなります。
これは担当者の負担となるだけでなく、会社にとっても新たなリスクとなります。このような問題は以下のような徴候として現れます。
#1:自分たちが何をわからないのかがわからない
例えば、国有銀行では、公式記録の発行が遅れたり、記録された内容が曖昧な場合があります。こういった問題の事実関係(ファクト)は、誰かが持っているスプレッドシートで把握できる可能性もありますが、スプレッドシートでは、問題の発見や評価は非常に困難です。
これにより目に見えないシステミックリスクが蓄積され、それが限界まで来るとこの問題やそれに伴う影響が顕在化する可能性があります。さらに悪いことに、ファクトがどのように評価され、意思決定がなされたのかの記録がないため、改善のための基盤となるものもほとんどありません。
#2:重要な意思決定に時間がかかる/なかなか意思決定ができない
重要な意思決定の際には、ファクトを完全に理解し、その意味も理解できると便利です。重要な意思決定を下す際にファクトおよびその解釈が準備されていれば、タイムリーな意思決定を正確に行えるようになります。
さらに言えば、利用可能なファクトおよび使用された根拠が明確に記録されていれば、意思決定がたとえ完璧ではなかった場合でも、今後、プロセス改善の優れた基盤として利用できます。
#3:みんなストレスを抱えている
重要な意思決定の際にファクトやその解釈の根拠が容易に利用できず、これらをスプレッドシートや部門特有のナレッジによって提供しなければならないとしたらストレスがかかります。
この結果として、仕事の満足度が低くくなり、離職率が高くなる可能性もあります。やらなければならない作業のために使えるツールがない場合、人々はイライラするだけでなく、転職すら検討するのです。
#4:コンプライアンス監査に簡単には合格できないと感じている
現在、あなたの会社はコンプライアンス監査の対象になっていないかもしれませんが、もし対象になったらコンプライアンスを満たすことはできるでしょうか。すぐに「イエス」と答えられない場合、以下を考慮する必要があります。
あらゆる受託会社に対して、新しい形の規制、コンプライアンス、監視が増えています。簡単に言えば、将来対応しなければならない要求はますます増える、ということです。
つまり、入手したファクトに基づきある時点においてどう意思決定したのかを、容易に監査可能な明快な記録として準備しておけば、過去、現在、未来のいずれにおいても、規制やコンプライアンスの負担が軽減されます。
なぜこれらは難しい問題なのか
従来、ファクトの評価は、賢い人々によって構成されるチームが担当しており、彼らがその意味を一緒になって判断してきていました。トランザクションのリコンサイル(照合)に関しては、何らかの時点で提示されるファクトそのものがリコンサイルの成果物です。
つまり、こういったファクトが何を意味するかは、賢い人々によって構成される担当チームの判断次第なのです。
デジタルビジネスモデルへの移行により、コンテキストが重要なさまざまな事象が増えています。あるファクトがあること(あるいはないこと)が重要な場合もあれば、そうでない場合もあります。
このような重要性を迅速かつ正確に判断できることが極めて大切であり、その判断に失敗した場合、深刻な影響が長期にわたって継続する可能性もあります。
この課題に対する解決策として、ファクトおよびこのファクトについて何を知っているのかを格納するデータベースがあります。このナレッジにはコンテキストに基づく解釈も含まれます。つまり対象としているものが、疑わしいのか否か、またこれは初めての事象なのかどうかという判断も含まれます。
これは「セマンティックデータベース」(ファクトおよびそれに知っていることを格納する)と呼ばれ、あらゆる形式で入手されるコンファメーションおよびリコンサイルに利用できます。新しいファクト(あるいはファクトがないこと)は、既知のファクトや解釈に基づいて評価できます。さらなる分析のために例外を認めるか否か、あるいは安全のために認めないかに関して、自動化された素早い意思決定が可能です。必要に応じて、ある時点のファクトに基づく意思決定に関する記録も利用できます。
旧来のプロセスを新規プラットフォームにリエンジニアリング(再構築)することは決して楽ではありませんが、これにより以下のような大きな利益がもたらされます。
- 誰もが利用・改善できる唯一の真実(ファクトおよびそれについて私たちが知っていること)が得られる。
- 新しいファクトを、既存のファクトおよびそれについて知っていることのコンテキストに基づき、より迅速かつ効果的に評価できる。
- 既存のファクトに対する新しい解釈を簡単にコード化し、どこでも即座に利用できる。
- ファクトとその解釈は、インフォームドサーチ、コンテキストに基づくアプリケーション、または根拠ある分析など、必要に応じて利用できる。
- 興味を持った人が利用できるように、ファクトおよびその解釈を容易に文書化しておくことで、信頼性が得られる。
- 結果として得られる情報セキュリティポリシーは、ビジネス状況の変化に対応できる、極めて柔軟なものとなっている。
- 鑑識、コンプライアンス、監査といったさまざまな活動において、任意の時点における意思決定の根拠となったファクトや解釈を容易に文書化できる。
トランザクションのリコンサイルをはじめとする多くの課題を解決するための新しいアプローチについて学ぶ準備ができたなら、ぜひ弊社までお問い合わせください。
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チャック・ホリス
2021年に、ポートフォリオマネジメント担当SVPとして、オラクルからMarkLogicに入社しました。オラクル以前は、VMwareで仮想ストレージに取り組んでいました。VMware以前は、EMCで約20年間、さまざまな分野、製品、アライアンスのリーダーを担当していました。
チャックは妻と3匹の犬と一緒に、フロリダ州ベロビーチに住んでいます。彼はIT業界を形成するような大きなアイデアを議論することを好んでいます。