ロボットに仕事を奪われる可能性は?

投稿者: Michael O'Dwyer 投稿日: 2018年3月2

ロボットに仕事を奪われるのではないかとの心配が広がっていますが、単なる杞憂というわけにはいかないようです。

代用のデバイスに夕食を用意できないうちは、女性は男性に対して強い態度に出ることができる、と誰かがジョークを言うかもしれませんが、それはデバイスが夕食を注文できたら状況が変わることを含意しています。この論理は、将来、雇用主が労働力としてロボットを使うようになることにつながるでしょうか?

事実を直視しましょう:支出削減が見込めれば、企業はそれを選択します。必要なときにボタンを押すロボットの指を使って1人の従業員が不要になると判断できれば、ロボットが採用されます。結局のところ、「ロボットの指」は、社会保障番号や年金や医療保険を必要としないので - 少なくとも、将来、ロボットの弁護士が肉体を持った対応物である人間と同じ権利をロボットのために勝ち取るまでは - 企業にとっては有利な選択になります。

ロボットやセンサーは新しいものではなく、数十年にわたり複数の業界でオートメーション化に寄与してきました。セキュリティカメラとリモート監視システムが高度化して充実し、警備員の数は削減されてきています。自動車業界は、長年にわたって組立ラインでロボットを使用してきました。2005年にカンヌ国際広告フェスティバルでブロンズライオンを受賞した作品は、車をロボットに変身させてダンスさせ、また車に再変身させるもので、国際的な評判を得ました。爆弾製造では、怪しいデバイスが入り込まないよう調査するためにロボットが使用されています。では、ロボットに対する見方は、この数年でどうして変わってきたのでしょうか?

ロボットに脅威を感じるのはなぜでしょうか?

近年、人工知能(AI)、機械学習、群知能、予測分析、ビッグデータはすべて、主要メディアで大規模に取り上げられ、世界有数のトップ企業がさまざまな形で実装し、程度の差はあってもあるレベルの成功を達成してきました。このような情報は、現在あらゆるところに遍在する高速ブロードバンドとモバイル・デバイスによって急速に拡散され、ターミネーターのようなグローバルな蜂起への心配から、ずっと個人的な「自分の仕事はどうなるのか?」という心配まで、人々はさまざまなレベルでロボットに対して脅威を感じ始めています。

未来派は、ロボット工学とAIが将来の雇用事情に影響を与えることを否定しません。テクノロジーの進歩によって、ある種の仕事は、人間が行うのは時代遅れになって(ビジネス用語で「もはや費用対効果が高くない」ものになって)、ロボットによって置き換えられてしまうでしょう。

最初になくなるのはどんな仕事でしょうか?

おそらく、単純で退屈なものでしょう。「多くの手作業、組み立てラインの作業や重いものを持ち上げるような労働が対象になるでしょう。有害物質の処理にはロボットが最適です。爆弾処理にはすでにロボットが使われていますし、狙撃者や火災の正確な情報を得るためにドローンを使うことも可能です。」と、障がいのある人を支援するテクノロジーを開発している Accessibility Partners のSharon Rosenblatt通信担当ディレクターは話します。

「繰り返しのような作業、ルーチン化した作業などは、やがてはロボットが担当するようになるでしょうが、ロボットがすべての仕事を奪うわけではありません。新しいものに適応するのに想像力や創造性を必要とする仕事をロボットが遂行するのは難しいでしょう。また、ロボットの設計や保守といった職種の需要も増えるでしょう。」と話すのは、ルイジアナのカスタムWebおよびモバイルアプリケーション開発会社、InfiniEDGE Software の創設者、Czarina Walker 氏です。

最後のポイントは的確です。新しいテクノロジーが導入されるとき、更新、保守、置き換えが確実にできることは重要です。(少なくとも次世代ロボットが状況をくつがえすようなことが起こらない限り、)この種の仕事は続くでしょう。

「人工知能は誤解されやすい用語です。すべてのロボットが本当に人工知能を必要とするわけではありません。多くのロボットは、携帯電話やウェブサイト上のアプリのように極めて正確にタスクを処理するだけで事足ります。」とWalker氏は述べています。

AI搭載のレンチ?必要ありません。ネットワーク上にIPアドレスがあるスマートトースターがAIを必要としないのと同じことです。

AIを組み込んだロボットが絡むと、雇用問題は深刻になりますか?

Walker 氏は次のように話します。「民間企業の反復可能なタスク(評価や監査)や、政府部門の頻繁に変更されない厳格なプロセス(ライセンスの許可や発行など)などが、AIに置き換えられ得る最初の業務になる可能性があります。5年から10年前までは予測できなかった分野にもAIは進出しています。たとえば、航空機の飛行スケジュールや音声認識を利用してメッセージ送信などの特定のタスクを処理できるパーソナルアシスタントがあります。」

データ集約型のタスクも、正しくプログラミングされている限り人間より正確なので、AIが人間を凌駕するようになるでしょう。

「たとえば、ホテルのチェックインでロボットに対応されるようになるでしょう。携帯電話で客室のロックを解除するように設定するようなホテル・システムの自動化があれば、チェックインする必要さえなくなります。または、何十回もレストランを利用して初めてVIPのような対応を受けられるようになる代わりに、1度か2度のレストラン利用でロボットのウエイターが好みのテーブルやデザート、飲み物をサービスするタイミングなどをすっかり覚えていてくれるというのはどうでしょうか?」と、Walker 氏は続けます。

ただ、AIは誤りを免れません。

Rosenblatt 氏は次のような例を挙げました。「AIは大きな進歩を遂げ、特にMicrosoft Officeで、写真をスキャンして内容を推測し、代替テキストを用意するようなことまで可能になっています。ただ、以前 PowerPoint で、3人の人が外で微笑んでいると正確に推測しましたが、その3人が私の会社のスタッフだったというより一般的な認識ができていませんでした。」

人間対ロボット:対決のカウントダウンは始まっています

シンプルなロボットをすでに導入しているレストランもあります。民間企業では、ケースバイケースでロボットを導入するでしょう。

Walker 氏は、次のように話します。「特に民間企業の場合、人間と同じことができるロボットへの投資に価値を見出すのは、大幅な金銭的メリットがあるケースに限ります。ロボットを導入すると、初期費用だけではなく、長期使用に伴うコストもかかります。ソフトウェアの更新、テスト、トレーニングなどが必要です。ロボットが人間に教えるようなクラスがあったとしても、そのロボットには、設計し、プログラミングする人間が関与し、適切なアップデートも欠かせません。」

一方、障がいのある人々にとっては、大変重宝するシステムが期待できます。

「AIとロボットは、雇用を求める、あるいは長期的な雇用を目指す、身体的な障がいを持った人たちのためには、障壁を取り去るのに大いに役立つと思います。聴覚や視覚に障がいを持った人たちを含め、人生のどの時点においてでも特別な身体的支援を必要とする人たちを支援するロボットが出てくるでしょう。」と、Walker 氏はコメントしています。

Rosenblatt氏は、「私はアクセシビリティの領域では、究極的にはまだまだ人間の判断には太刀打ちできないと思います。アクセシビリティに関するウェブ規制として、グラフィックのようなテキスト以外のコンテンツは、視覚障がいを持つユーザーにそれを説明するテキスト同等物を提供することを義務づけるものがあります。これは代替テキストと呼ばれ、画像のコード内(ウェブサイト自体には表示されません)にあって、補助テクノロジーのユーザーのために翻訳されます。アクセシビリティのために、正確な、画像と同等の情報を提供するには、やはり人間が介入する必要があります。人間の判断が加わらなければ、使いものになりません。私は、AIとロボットは偉大な ”フォールバック” 計画だと思っていますが、決して頼り切るべきではありません。」と述べています。

マシンに創造性を教えることができるでしょうか?

ロボット工学を駆使して人間の感覚を補助したり強化したりするインプラントやプロテーゼを開発することは可能ですが、AIは現実的に人間に匹敵するレベルとはかけ離れていると言わざるを得ません。サイエンスフィクションに登場するアンドロイドやロボットは、まだ夢物語です。

Rosenblatt 氏は、次のように述べています。「私はそれら(サイエンスフィクションに登場するアンドロイドやロボット)が実現性があるとは思いませんが、AIは進化を続けるでしょう。執筆や創造性を含む芸術をAIが担当するような世界は来ない気がします。」

「人間に残される仕事と、ロボットが関与する可能性が高い仕事との違いを生み出すのは、創造性です。創造性を必要としない仕事は、多分ロボットが代行できます。」と、Walker 氏は話します。

直面すべき真実は一つです。大企業は、どのような業種であれ、効率を重視して(より正確には、利益を上げるために)、少しでも早く「ロボット」を導入しようとするでしょう。これは警告です。行っている仕事がロボットにもでき、雇用者が初期投資をすることができる場合は、その仕事はロボットによって置き換えられます(継続的なメンテナンス費用が人間の給与よりも低いと仮定してですが)。これは自動化ロボットの話で、AI搭載のロボットについては、また別の話になります。

「ロボットは、人間と同じように、学ぶ能力を持つようになるでしょう。問題はロボットが何を誰から学ぶのかということです。周囲の倫理的な行動から学んでモデル化するのか、非倫理的な行動から学んでモデル化するのかという問題です。ロボットの動作中に常に意思決定者が介在する必要はありませんが、途中のどこかの段階で、ロボットがどのようにユーザーとやり取りすべきかを設計するのを支援するために、人間が介在する必要があります。」とWalker氏は指摘します。

Stephen Hawking 氏(彼は実に知能明晰な方です)さえ、AIに対する懸念を表明していますが、人間が介入することのない自発的な動作を許容することで生ずる自己消滅の可能性は無視しても差し支えないのでしょうか?そんなことはないはずです。Walker 氏は、変化は新しいものではないと指摘し、次のように述べています。「ロボット工学とAIは雇用を創出するでしょう。その新しく創出される仕事はこれまでとは違った見慣れない仕事でしょう。過去のそれぞれの世代が、以前には定義さえされていなかった異なる仕事の出現を見てきたように。」

ロボットに仕事を奪われるかもしれないと心配ですか?それなら、Walker 氏の willrobotstakemyjob.com をチェックしてみてください。今のところ、筆者の仕事は大丈夫なようです。皆さんはいかがですか?


Michael O'Dwyer
Michael O'Dwyer
An Irishman based in Hong Kong, Michael O’Dwyer is a business & technology journalist, independent consultant and writer who specializes in writing for enterprise, small business and IT audiences. With 20+ years of experience in everything from IT and electronic component-level failure analysis to process improvement and supply chains (and an in-depth knowledge of Klingon,) Michael is a sought-after writer whose quality sources, deep research and quirky sense of humor ensures he’s welcome in high-profile publications such as The Street and Fortune 100 IT portals.
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