エアバスが ODH で試験飛行の効率を改善

エアバスが ODH で試験飛行の効率を改善

投稿日: 2019年5月10 0 Comments
Trainee Pilot Operating Throttle In Flight Simulator With Instructor

競争の激しい航空機製造業界において、エアバスはデータを活用することで試験飛行を最適化するとともに、試験の分析を改善しました。

新型航空機の認定には数か月かかります。そのプロセスにおいて不可欠なのが試験飛行です。試験飛行では、運行に必須の航空機認定の取得を最終的な目的として、所定の性能が実現されているか、耐空性の要件を満たしているかを確認します。エアバスはお客さまと連携し、このサイクルを短縮してフライトを最適化することにより、価値の最大化を目指しています。

先日、エアバスの航空機データ処理部門長である Stéphane Neuzillet 氏や、フライト&インテグレーションテストセンターの試験データ処理エキスパートである Laurent Peltiers 氏と話すことができました。彼らは試験飛行センターの課題と、それをどのように乗り越えたのかを語ってくれました。これは次回の MarkLogic World のセッションのトピックとなる予定です。いち早く知ることができて、私は幸運でした。

複雑な試験

エアバスのような企業はテラバイトやペタバイトにも及ぶデータを取り扱うため、世界中の試験飛行センターにとって、データというのは手ごわい要素です。データの量ひとつをとっても、精度の高い情報を発見することは困難です。例えば、A350 はその兄弟機種である A320 と比較して、50倍以上のデータを生成します。

さらに、天候条件、直前に生じる技術的制約、最先端技術の製品管理によって、試験飛行の環境は常に変化します。

従来から、各フライトは特定の試験項目を目的として実施されており、新しいフライトを最適化するためにこれらのデータを活用する必要がありました。しかし、特定の条件とその条件下の結果(たとえば、特定の速度や高度での燃料消費量など)をデータ内から簡単に検索できるソリューションが存在しませんでした。データが見つかった場合でも、そのデータを他のデータと関連づける必要があることが多く、プロセスの妨げになっていました。

正しいデータの組み合わせを簡単に見つけることができる点が、MarkLogic® のODH(Operational Data Hub)プラットフォームを検討することになった理由です。

MarkLogic データマネジメントプラットフォーム

こうした課題に直面しているのはエアバスだけではありませんが、同社の取り組み方はユニークなものでした。エアバスは、従来のデータの統合に何か月または何年も費やすのではなく、アマゾンウェブサービス上の ODH を用いる新たなアプローチの採用を決定しました。ODH は、以下のようなさまざまなデータソースからデータを読み込みます。

  • センサーや機器類の時系列データ(標準的な航空機およびすべての追加機器)
  • 試験のメタデータおよび航空電子機器システムの通信
  • フライトクルーのレポート(航空機の設定と、天候、風、航路などさまざまな変数が含まれるフライトの詳細)

こうしたデータやメタデータをすべて結び付けることが非常に重要でした。そこでエアバスは、MarkLogic のマルチモデルアプローチを活用し、MarkLogic のセマンティックによりデータとイベントをリンクさせて、試験とその結果を包括的に把握することとを可能にしました。エアバスは、合計で数十億のトリプルを MarkLogic に格納しています。

このデータを安全にクラウドに保存するために、エアバスは MarkLogic の高度な暗号化を活用しています。これは、包括的な標準準拠の Key Management Interoperability Protocol(KMIP)ツールキットです。エアバスは、いかなる NoSQL データベースよりも詳細なレベルでデータを保護する、MarkLogic の要素レベルのセキュリティも使用しています。

試験飛行の最適化と市場投入時間の短縮

エアバスは、ODH によって過去の試験飛行データを活用して、試験の準備時間の短縮、新たな試験飛行の最適化、不要な試験の回避などを実現しました。これにより、安全性を損なうことなく、重要な試験にかかる時間やコストの削減を達成しました。「フライト中に特定の出来事が発生して、以前にも起こったことがあるか調べようとしても、見つけ出すまでに数週間かかることがありました。今はそれが数分でできるのです」と Stéphane Neuzillet 氏は言います。「このような事例を特定することで、新たなフライトが必要かどうかを見極めることができるのです」

データの包括的なビューは、さまざまな条件で2時間のフライト中に航空機が燃料をどの程度消費したかなど、エンジニアや科学者が過去の試験とそのメタデータを研究する際に役立ちます。こうしたデータを見つけやすくするだけではなく、再利用可能にすることで、エアバスは情報を以後の試験にも適用し、知識の獲得にかかる時間を短縮できました。「試験の実施者や専門家にとって、このプラットフォームは革命です」と Laurent Peltiers 氏は言います。「2年前、専門家たちは、長時間かけてフライトごとに分析を行っていました。現在では、数千もの試験をすばやく比較できます—これはマルチフライト分析の革命の一部です」

これに加え、エアバスチームは MarkLogic の使いやすさについても触れています。「コーディングなしでデータを検索できるため、試験エンジニアも容易に使用できます。ほぼ誰でも使うことができるのです」と Stéphane Neuzillet 氏は語ります。

エアバスは、このプラットフォームの成功により、組織内でのユースケースが増加しているとも話しています。「ドキュメントデータベースとトリプルストアは、大量のジョブを処理するのに非常に効率的です。おかげで、新たなチャンスを数多く得られています」と Laurent Peltiers 氏は話します。

詳細はこちら

エアバスの試験飛行データのストーリーにご興味をお持ちの方は、ワシントンD.C.で5月14日と15日に開催される MarkLogic World にお越しください。お越しになれない方はエアバスの MarkLogic 導入事例ページをご覧ください。

ニコール・ローズベア

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