重要なIT関連事項の承認を得る必要がある場合は、入念な準備をしなければならず、間に合わなくなることもしばしばです。面倒な申請用紙に記入して、3週間後に、紛失したから再提出するように言われるかもしれません。やっと承認を得られたときには、ネットワークはクラッシュしたどころではありません。埋葬済みです。
この問題をあっという間に解決する魔法のような秘策はありませんが、ビューロクラシーは業務のペースに合うように改善することはできます。組織の意思決定者に円滑な処理を行ってもらうために考えられる方策を提案します。
政治力は選挙のときだけに発揮すべきものではありません。人々がグループとして何かを決定する必要があるとき(組織では常時発生する事態ですが)に発揮すべき能力です。99uのスコット・ベルスキー氏は、組織的なビューロクラシーに対処するための政治的なアドバイス、特になかなか解決策が見つからない問題を議論する会議で行き詰ってしまったときに、解決の糸口に結びつくような実用的なアドバイスを提示しています。進み出て、「ユーザー・トレーニングをしないで、帯域幅についての同じ話を繰り返すべきでしょうか?」と、誰もしたことない質問を投げかけるのです。本当はほかの人も同じことを考えているのです。
また、ベルスキー氏は、「全員が同意するにはどうすればいいかを考えようとしないでください。皆が賛成できない点を確認することが大切です。」と述べています。誰もが1つの意見でまとまるのを待つことは、進捗を阻止したいときだけに有効な手段です。まず、誰もが抱いている懸案事項を提示し、共有することが、効果的に妥協点を見出す近道になります。
IT部門の意思決定の承認を得るための最良のタイミングは、承認が必要になるより前です。ITの業務はいつも大変であわてさせられることも多いですが、承認が必要になる事態は予測可能です。ネットワークトラフィックが増加すれば、ネットワークの待ち時間は長くなります。ソリューションがアップグレードされたときには新しいバグも入り込みやすいでしょう。必要なパッチをあてなければ、ハッカーの攻撃から保護することはできません。
これらの問題は、発生することが事前にわかります。承認が必要になったときにすぐに処理できるよう、事前に許可を得ておくことが肝要です。
権威主義を快く思わないのはIT部門に限りません。遅滞する形式ばった手続きは誰にとっても歓迎すべきことではないので、協賛してくれる部門も多いはずです。ただ、遅延の影響に対する感じ方は人によって様々なので、全員が一致団結して協力してくれるとは期待しない方がよさそうです。システム管理者としてできることは、ユーザーが抱える小さい問題を解決していくことで、意思決定者に本当に必要なのは何なのか正しく把握してもらうようにすることかもしれません。
そのような形で協力することは、なぜだか動かなくなったマシンの電源スイッチをオンにしてにっこり笑う以上の効果があります。他部門が抱えている問題に耳を傾け、それがITのするべきサポートの対象外であっても、可能なら何らかの手助けをしてください。友好的な協力関係が成立していれば、必要なときに協力を得られます。
これらの方策のどれもうまくいかなかった場合は、最後の手段として必要なことを進めてしまいましょう。形式にこだわる意思決定者との交渉はその後で行います。ほとんどのケースで、「ネットワークがクラッシュするのを阻止するためにこれこれが必要でした。」と言う方が、ネットワークがクラッシュした説明をするよりましなはずです。権威主義者は当然苦い顔をするでしょうが、危機を回避できたことに内心で安堵していることでしょう。
IT部門の仕事は、誰もが技術をよく理解するようにならない限り、決して楽になることはありません。ですが、ビューロクラシーの弊害を避けるために、先を見越して事前に対策を立てるようにすれば、危機的状況に陥らないですみ、ストレスも軽減できます。
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