InvestOps:金融サービスにおけるクラウドベースのソリューションの活用

投稿者: ジョージ・ブルーム 投稿日: 2021年3月3

MarkLogicをご利用頂いているお客様の中には、世界最大規模の金融機関がいくつかいらっしゃいます。これらの企業はすべて、データ管理や分析の作業をクラウドへ移行中あるいは移行を検討中です。これはビジネスアジリティの改善、インフラコストの削減、柔軟な拡張性などといった価値を評価いただいているからですが、運用上のリスクや規制への影響は必ず考慮する必要があります。

先日、私は投資事業のイベントInvestOpsバーチャルパネルディスカッションに参加しました。その際、「金融機関がクラウドベースのソリューションを活用し透明性/規制報告/サービスの質を改善するためのベストな方法」について話し合いました。そのセッションの質疑応答の内容を、以下にまとめてみます。

金融機関がクラウド移行を検討する際の懸念事項にはどのようなものがありますか?

多くの金融機関が抱えている一般的な問題として、すでに非クラウド環境に大規模なインフラが存在していることがあります。これを変更するにはお金がかかりリスクもありそうなので選択肢が減る可能性もあります。つまり既存のインフラで問題ないのに、なぜあえて移行するのかという疑問も出てくるということです。

もう1つの問題としてあるのは、金融機関は顧客の個人情報を大量に保有しているということです。このためこのような機密データをクラウドに移行するとセキュリティリスクが発生するのではないかという懸念があります。また、クラウドへコアとなるトランザクション処理サービスを移行する際のリスクもあると考えられています。クラウドソリューションには利点があるにも関わらず、金融機関での導入がなかなか進まないのは、このようなリスクが想定されていること、また多くのレガシーのオンプレミスシステムが業務を依然として回しているからでしょう。

この2年間ほど、お客様との話題のほとんどが、「一部の業務をオンプレミスやプライベートクラウドから、アウトソース(フルマネージド)のサービスプロバイダ環境に移行する」ことに関するものに変わってきています。しかし、すぐにクラウド環境に完全移行する企業はほとんどなく、大部分の企業はハイブリッド(混合型)のままでいるだろうと私は想定しています。

金融機関がクラウドに移行する際のベストなアプローチとはどのようなものですか?

当たり前に聴こえるかもしれませんが、このパネルディスカッションではかなりの時間をクラウド移行の際のリスク、メリット、移行を成功させるためのベストなアプローチについて費やしました。登壇者全員が、クラウドコンピューティングのメリット(ビジネスのアジリティや効率性の改善)は、移行のリスクを大きく上回ると考えています。

こういったメリットを実現するために、以下のような主要アプローチが取り上げられました。

  • これまでの考え方を変えること。この議論から浮かび上がってきたポイントとして、組織の考え方を変えることが重要だということがあります。これは単に技術に関してだけではなく、達成される結果やメリットについても考え方を変えるということです。例えば、投資ライフサイクルの改善に必要なのはどのデータフローなのか、また改善の実現に利用可能なテクノロジーにはどのようなものがあるのか、などについてです。
  • まずデータハウスを整理すること。クラウド移行のベストプラクティスとして、移行前にシステム内のデータを確認しておく必要があるという話が出ました。ここでデータの統合および処理のメリットについてもしばらく議論しました。例えば、複数のシステムに存在するデータの重複を解消してすべてハーモナイズしておけば、クラウドに移行するデータの質を高いものにできます。クラウドへの移行は、データがどのような構造なのか、どのような処理がデータに影響を与えるのか、また組織がどのようにデータを活用している/活用すべきかについて考える機会を与えてくれます。
  • 作業の移行計画を作成すること。もう1つのベストプラクティスは、既存のアプリケーションおよび処理を確認し、どれをいつどのようにクラウドに移行するのかを決めることです。クラウドへの移行は旅のようなものです。一回ですべてをクラウドに移行することはできません。ほとんどの顧客は、クラウドへの作業移行に関してバランスの取れたアプローチを取っています。この確認/評価期間において、セキュリティ、システム(コア/非コア)、ビジネス要件、アプリケーションの種類(分析/業務/トランザクション)について検討し、どれをいつ移行するのかについて判断します。

MarkLogicによるデータ統合のクラウドへの移行

クラウドへの移行は旅のようなものであり、全員にとって正しい1つのやり方が存在するわけではありません。すでに金融機関の多くのお客様が、MarkLogicのデータハブプラットフォームをオンプレミスあるいはプライベートクラウド環境で利用しています。それ以外の金融機関は、レガシー環境(ほとんどがメインフレーム)からオンプレミスのMarkLogicへの移行に取り組んでいます。また特定の業務をMarkLogicがクラウド上にホスティングしているデータハブサービスへと移行させている企業もいらっしゃいます。クラウドへの移行に関するあらゆる段階において、投資サービスビジネスにおける変革目標を達成するために、MarkLogicはテクノロジーだけではなくこれまでの知見・経験を提供してお客様をお手伝いしていきます。


ジョージ・ブルーム

ジョージは、25年以上にわたって、お客さまと協力してデータ関連の複雑なビジネス問題を解決してきました。リレーショナル技術の黎明期から、ミドルウェアやデータ変換ソリューションの進化、そして「ビッグデータ」統合とそれによる業務プロセスへの好影響の可能性に注目が集まる現在まで、幅広い経験を持っています。複数の業界にわたる経験を持ち、差し迫ったビジネス上の問題の解決に新しい技術がどのように役立つかについて理解が深いことから、お客さまにとって信頼できるアドバイザーとなっており、業界のカンファレンスでは頻繁にパネリストを務めています。

スタートアップ(Sisense、Cirro、Itemfield、Connotate)および実績あるソフトウェア企業(インフォマティカ、オラクル)の両方での経験から、「ベストプラクティス」と企業が現在利用できるソリューションについて独自の視点をもっています。MarkLogicではセールスエグゼクティブチームを率い、データの管理方法を見直すことでデータの問題を解決し、新しいビジネスチャンスを生み出すために企業と協働しています。

コロンビア大学で歴史学の学士号を取得し、ラトガースビジネススクールでMBAを取得しています。

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