2020年にIT技術者が注目する3つのテクノロジー

2020年にIT技術者が注目する3つのテクノロジー

投稿者: Michael O'Dwyer
投稿日: 2020年1月16 0 Comments

2020年は未来への入り口でしょうか?どのような年になるかはわかりませんが、このブログでは、IT技術者にとって注目すべき2020年のテクノロジー、トップ3について記述します。

IT技術者は、テクノロジーに精通し、こだわりも強くて、製品や技術に対する受け入れ方が一般の消費者とは少し異なるように思います。つまり、具体的なメリットを自分で確認できない限り、企業の宣伝を鵜呑みにしたり、製品や技術にすぐに飛びつくようなことはめったにありません。新しいゲーム、新しいソフトウェア、新しいハードウェア、新しいデバイスに大いに心を動かされて興奮することがある一方、言わゆる新しい「イノベーション」であっても、それに関連する技術的な、またはプライバシーやセキュリティ上の欠陥がわかれば、即座に背を向けてしまうこともあります。そして、こういったことを様々にオンラインで、ダークウェブ上で、そしてコーヒーショップで議論します。そのようなIT技術者が、2020年に注目しているテクノロジーは何でしょうか?

人によって様々であり、数え上げればきりがないでしょうから、ここでは3つの主要テクノロジーについて論じたいと思います。

1. 通信、放送、そして 5G

私は、現在、4Gスマートフォン(具体的には Oppo R9+ です、もし興味がおありなら)を所有していますが、5Gスマートフォンにアップグレードする予定は今のところありません。理論的には、5Gのロールアウトには多くの利点があり、健康への影響の可能性を無視するならば、スピードが上がるのを喜ばない人はいないでしょう。ただ、しっかり確認したいのは、ラボでの理論的な速度ではなく実際にどれくらいの速度になるのか、カバレッジはどうなるか、そして、最も重要なコスト的にはどうなのか、です。

夢のようなスピードが可能なら、データプランへの価格設定も飛躍的に高くなるでしょうか?信頼性とコストが判明するまで、5G導入はアーリーアダプターの手に委ねたいと思います。アーリーアダプターの方たちには幸運を祈ります。5Gであっても、これまでの4Gや3Gと同じインフラストラクチャで動作するわけですから、ネットワークアクセスとスピードは、キャリア、加入者の数、そしてロケーションに依存します。もちろん、短期間に大規模な導入が集中すればデータセンターで問題が発生する可能性もあるでしょう。4Kブロードキャストを数百万人のユーザーにストリーミングするために必要なストレージ(一時的または固定)はどれくらいですか?

5Gが(ポジティブな意味で)破壊的テクノロジーになるという予測は正しいでしょうが、キャリアが、数時間や場合によっては数分という短い期間で使用可能になるフェア使用ポリシーの下で、データ上限なしの費用対効果の高いデータプランを提供する準備ができていない限り、伝統的な意味で破壊的(つまり、問題を引き起こす)になり得ます。たとえば、AT&Tは「無制限」のデータプランを複数提示していますが、最高の上限が100GB で、それを超えるとネットワークの混雑により速度が低下する可能性があるとの但し書きがついています。

100GB は十分大きいサイズのように思われるかもしれませんが、HDや4Kの熱心なストリーマーの場合はそうでもありません。Android Central によると、4K/UHD ムービーのストリーミングには1時間あたり7.2GB が使用されます。計算してみれば、100GB が決して大きなサイズではないことがわかるでしょう。そうは言っても、ほとんどの人は可能な限りスマートフォンを Wi-Fi に接続するでしょうから、5Gはどうしても必要なものの場合、または、短時間の通勤中など散発的な使用には有用です。

ビジネスユーザーにとっては、5Gは、現代的な(ポジティブな)意味で破壊的であり、電子メールの送信やクラウドサービスの使用時に貴重なマイクロ秒を得られることで、生産性向上に寄与します。さらに5Gは、完全なロールアウトが実現できれば、自動運転車の進歩に益し、IoT をさらに発展させ、人々の暮らしをより安楽なものにすることができます。

2. 多様なリアリティ - VR、AR、MR

毎日の仕事のストレスがたまって、人に危害を加えたい衝動に駆られるような可能性があるとすれば、現実からの一時逃避は確かに1つの選択肢になり得ます。そして、2020年には、XR(extended reality)と総称されるいろいろなリアリティが楽しめるはずです。例えば、”Half-Life: Alyx” と呼ばれる、VR(virtual reality、仮想現実)専用のVRゲームが、Valve から2020年3月にリリースされる予定で、期待している人も多いようです。

XRには、VR、AR(augmented reality、拡張現実)およびMR(mixed reality、複合現実)が含まれます。現実でつらい、いやなことがあったとき、または憔悴しきったとき、XRに一時逃避することはいい考えだと思います。...私の意見では、仮眠よりもはるかに優れています。

これまで、XRはユーザーエンターテイメントに限定されていましたが、2020年には人々の生活をよりよいものにしていくことにも貢献するでしょう。大いに役立つ可能性がある分野の1つに、XRを使ったセキュリティ意識向上トレーニングがあります。VRでは完全に没入型の体験ができ、MRを使用すると、現実世界のデジタルオブジェクトとの対話から、電子メールのマルウェアへのリンクをクリックしてしまう体験ができます。この技術は、IT管理者募集に応募してきた候補者のスキルをテストしたり、新しいスキルの追加トレーニングの一部として使用することもできます。サイバーセキュリティ分野に必要な十分なスキルを持った人員が不足している実情を考えると、こういった手段で社内トレーニングを行うことは合理的な方法でしょう。

近い将来普通になるかもしれないXR技術の例を挙げておきます。

Dronebrella

AR Pets

Shopping in Augmented Reality

3. 人工知能

人工知能の台頭で、2020年には人間の知能はAIに敵わないとして補助的役割しか与えられなくなってしまうのでしょうか?まさか、そういうことがすぐに起こるとは思えませんが、好むと好まざるとにかかわらず、AIは私たちの個人的な生活や仕事にすでに影響を与えています。これまでの人工知能の応用分野のほとんどは音声認識と画像認識(結果として得られるデータセットがユーザーのプライバシーを侵害する場合があります)であり、多くの人たちが仕組みもよく理解しないままに、スマートフォンや車、その他のデバイスと習慣的に会話します。誰からも「少し奇妙」とラベル付けされることなく、無生物と話すことができるのは、ありふれた日常風景になったからでしょうか?

AI関連でよく言われる問題は、AIプログラムをカスタム化するのに高額の費用がかかり、広く採用されないという問題です。2020年には、この点に関する変化がもたらされる可能性があります。企業の事情に応じてカスタム化されたソリューションを提供できるような新しいサービスプロバイダが出現するかもしれません。

予測タイピングの革新にはAIが大きく寄与しています。私が実際に使用している LightKey は、タイピング時に学習する非侵入型でプライバシー重視のソリューションです。音声認識してテキストを作成する、Nuance の Dragon Naturally Speaking も、AI/ディープラーニングを使用しています。私は両方のプログラムを時間節約のために利用して、節約できた時間を分析や診断などに使います。

AIによる支援で有望なアプリケーションとしては、仮想エージェントやチャットボットなどがあります。まだまだイライラさせられるレベルかもしれませんが、次第に学習効果が出てきて効率的になるでしょう。実際の人間とのやり取りが困難な場合は、曲がりなりにも回答が得られるだけでも有意義です。チケットシステムに仮想エージェントを統合すれば、ユーザーサポートのワークロードが確実に軽減されます。

2020年には、多くの「パーソナライズされた」または「予測的な」ソリューションが期待できますが、言うまでもなくマーケティング以外にも有益です。AIベースの脅威インテリジェンスソリューションは、特に注目に値するものであり、採用するところも増えています。サイバーセキュリティの分野に参入するスタートアップ会社のリストは、こちらからチェックできます。

AIについて語る場合、ビッグデータと予測分析を無視することはできません。気候変動データ(有名なある人物によれば存在しないことになっていますが)や収穫高データなどは、テクノロジーの有効かつ積極的な使用による成果です。個人データ(匿名化されているかどうかに関係なく)については、疑問が残ります。顧客である私たちは、パーソナライズされた広告を迷惑に感じることが多いと思います…

最後に、AIが非常に賢いのであれば、多くの人たちがVPNを使用したり旅行したりするときに、なぜジオロケーションがセキュリティ対策としてまだ使用されているのでしょうか?ハッカーが最初に行うことは、自分の場所を隠すことなのに、なぜジオロケーションをセキュリティチェックとして使用するのですか?ユーザー名、複雑なパスワード、2要素認証で悩まされなければならないのでしょうか?私は Microsoft に希望を持っていましたが、今では Microsoft も他と同じことをしています。以前は「これがあなただったら、何もする必要はありません。」でしたが、今は非常に遅い検証プロセスが完了するまでアカウントアクセスがブロックされます。

新テクノロジー導入に対するITの視点

ITの視点からだけ考える場合、2020年にIT部門に影響を与える可能性のあるテクノロジーは、5G、AI、そして(会社がその可能性を重視している場合は、)おそらくVRです。運用上の考慮事項が優先される必要があります。収益の増加に直接結びつかないタスクに時間がかかり過ぎるようなことがあれば、自動化を導入してプロセスを高速化することを検討することが考えられます。自動化で節約できた時間は、運用上の目標達成やプロセスの最適化などのために利用できます。IT部門には、迅速な問題解決という重要な責務が常に伴いますから、たとえ優れた新しいテクノロジーやソリューションについて調査し、導入すべきかの判断を下せる能力があったとしても、実際に導入できるかどうかは時間や予算があるかどうかにかかっています。

IT部門は MacGyver アプローチ(訳者注:手近にあるありふれたものを創意工夫して危機的問題を切り抜ける手法)に頼ることはできません。IT部門は、(コンピュータを維持するための)単なるサポートの役割を果たせばいいのではなく、すべての部門と密接に関与し、すべてのプロセスについて統合的に判断する必要があります。2020年には、IT部門に、会社の運営を最適化するために必要なツールを購入してください。可能なら、士気を高めるために、ハイテクツール、Tシャツやキーリングではなく、Alienware のどれかはどうでしょうか?

Michael O'Dwyer

Michael O'Dwyer

An Irishman based in Hong Kong, Michael O’Dwyer is a business & technology journalist, independent consultant and writer who specializes in writing for enterprise, small business and IT audiences. With 20+ years of experience in everything from IT and electronic component-level failure analysis to process improvement and supply chains (and an in-depth knowledge of Klingon,) Michael is a sought-after writer whose quality sources, deep research and quirky sense of humor ensures he’s welcome in high-profile publications such as The Street and Fortune 100 IT portals.

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